いきなりですが、この本は読み物として、
とても楽しめます。
もちろんレシピ本として
ご活用いただくのは正しい使い方ですが、
お料理をしない方にも、個性ある日本酒の
新しい楽しみ方を知っていただく機会になることでしょう。
ところで、あなたは日本酒の味を
適切に言葉にすることができますか?
そうそう、甘いとか辛いとかそういうことです。
常日ごろから、日本酒の繊細な味わいや
感覚の領域を適切に表現するのは、
とても難しいと感じていました。
そもそも味を言葉にする必要が
あるのかという問題はありますが、
それはさておき、さまざまな味わいを
自在に表現するチカラが身につけば、
より楽しい日本酒ライフが送れるのでは
ないかと考えこの本を手に取りました。
この本の魅力は、ニュアンスを伝えることばの使い方
ペアリングを完成させるために、
見立ての根拠となる味わいを、
科学的な見地から述べられているのが
特徴的です。
その中でも、日本酒を表現する言葉が豊かで、新たな視点で日本酒をとらえることができるのはとても興味深い。
6)陰影をつける
味に奥行きを持たせる
料理と酒を合わせることで、料理の存在感がぐっとアップするペアリングです。水に墨汁を一滴たらして陰影がつくような、そんなイメージで淡いトーンの料理に違うトーンの酒を合わせてみると、旨味が増したり、ばらばらだったものが一つにまとまったり、料理の起爆剤となったり。新たな味がフォーカスされて、料理に陰影がつきます。
麻里絵さんは、ニュアンスを表現する言葉が
秀逸です。心にすっと伝わるのです。
日本酒を楽しく豊かに味わうために、感じた味を言葉にするためのヒントがたくさんあります。
『GEM by moto』恵比寿にある日本酒BARの店主
著者は、東京恵比寿にある『GEM by moto 』の経営者です。
活動の幅はお店だけにとどまらず、
有名蔵元との親交も厚く、コラボ商品を
出したり、開発にかかわったりと多岐にわたります。
私が彼女を知ったのは、『真澄』を醸す宮坂醸造さんとのインスタライブでした。
味わいのニュアンスをたとえる言葉の
選び方に鳥肌が立ったのを覚えています。
いつかはお店で飲んでみたい
9つのペアリング理論
意外なものの組み合わせ。
「口内調味」を意識した日本酒ペアリング
どのように、発想して組み立てるのかを
9つの理論で解説しています。
- 似たもの同士
- 対照的なもの同士
- 味の濃淡を合わせる
- 味を重ねる
- 余白を埋める
- 陰影をつける
- 記憶にある香味の再構築
- 新たな香味を生み出す
- 余韻を長くする
ブルーチーズのハムカツにどぶろくを
合わせるなど、斬新な発想は
既成概念をぶっこわしてくれます。
意外な取り合わせを科学的な根拠で補い、
新しい日本酒の世界を広げてくれます。